さきたま古墳群を歩く(3) 

08.6sakitama 057

もう一つの国宝、「神獣鏡」もゆっくり見ることができた。
雨が止まないせいか、来館者が少ない。
ここの博物館は居心地がよいので、長居してしまう。
この鏡のフルネームは、
「画文帯環状乳神獣鏡(がもんたいかんじょうにゅうしんじゅうきょう)」という。
長ったらしい名前だが、考古学の出土品の名前としては普通である。
これは見たままを漢字で表現しているだけで、漢字の羅列にひるまず読めばなんとなく意味はわかる。
古代人の人名のように、読めない「漢字酔い」みたいなことはない。
読めない文字は確かにストレスになる。
二泊三日の韓国ツアーで「ハングル文字酔い」にあったことがある。
周囲のあちこちに目に入る文字が読めないと、頭がくらくらして何となく気持ちが悪くなるのだ。
アルファベットを使う諸国ではなかった経験である。
 
この神獣鏡は同タイプのものが全国の六ヶ所から出土しているという。九州では福岡と宮崎、中部で三重、関東では群馬と千葉、それとここの埼玉である。
 
当時の銅鏡がかなり重要なアイテムであることはわかっている。
博物館の説明では、大和政権の傘下に下り軍人や文官として仕え、その功績により大和政権から与えられたものであろうという。
次の部屋では、「自分で勾玉をつくろう」という教室があった。
勾玉(まがたま)は魔除けと幸運を呼ぶという古代の装飾品である。
縄文の頃からあり、滑石やヒスイ、水晶などの材質のものがある。
この教室ではやはり学芸員のOBの人が指導してくれる。
1時間ほどでできるというので、チャレンジしてみた。
ここではペーパーやすりで削れてしまう非常に柔らかい滑石でつくる。長方体の滑石とペーパーやすりがセットになっていて200円。
まず大雑把に長方体の角をざくざくとやすりで削る。
丸くくぼんだ所も棒やすりでぐいぐいと削る。
作業台にすわってせっせと石を削っていると、背後にざわざわと何人かの気配がし、その一人が声をかけた。
 
 「あら、何をやっているんですか?」
と私の背中ごしに手許をのぞく。
私の目の前にいた指導員が代わりに応えた。
 「勾玉を作っているんですよ」
 「あなた方もいかがですか、1時間くらいでできますよ」
 「へええ、面白そうね・・・」
 「1時間?そんな時間はないわ・・・・」

五、六人のおばさんグループはどどどっと来て、ささっと去っていった。再び静寂が戻った。

その後、荒目、中目、細目とペーパーやすりでこすり磨く。
だんだん勾玉の形ができて来る。
小さなこすりキズがなくなった頃、水で洗いさらに細かい仕上げ磨きをする。すると表面がつるつるのピカピカとなった。
 
それが、冒頭の写真の勾玉である。
それにしても、勾玉って変な形だなあ。
人はなんでこんな形を愛でたのだろうか。
後の時代の文様として「三つ巴(みつどもえ)」などの巴の原型ともいわれている。
 
もう一つ私が頭に浮かべたのは、ペーズリー柄だ。
これも勾玉の形ではないか。
ちょっと調べてみた。意外なことを知った。
ペーズリー柄は西洋の文様だと思っていたら、なんとインドのカシミール地方のショールのパターンが起源だという。
 
へえ、やはり勾玉とペーズリーとは何か関係があるのではないか。

もちろん、博物館の史料解説にその関係の言及はない。

 

申し訳ないが、もう一回だけ、続く。


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