百年前のおひな様

昨日はひな祭りだった。
一日過ぎてから話題にするのも間が抜けているがお許しいただきたい。
冒頭の写真は、ステンドグラスのお内裏様とおひな様。変わり雛ではあるがなかなか現代的で面白い。
ひな人形は、桃の節句をやさしく形で表してくれて子供の心も華やぐ。
しかし、住宅事情やら何やらで昔ながらの7段かざりはすっかり敬遠されてしまっている。
ラジオで、あるアンケートを聞いた。女の子のいる家庭でも約7割はひな人形を飾らないという。さびしいことに、これもまた時代の変化である。
リサイクルショップにひな人形や五月人形を引き取ってほしいという依頼がよく持ち込まれる。買うときは何十万とするフルセットのひな人形も、今では世代を越えて受け継がれていくことは少ない。
娘が大きくなって次第に飾らなくなり、一人立ちしてもひな人形を持っていかない。
しばらくは押入れや物置に眠りやがて不用の物となる。
人形は捨てにくいのである。だからリサイクルショップに持ってくる。
残念ながらほとんどのリサイクルショップは引き取らない。引き取っても売れないからだ。
当店も丁重にお断りしている。が、実は店内に例外的なおひな様がある。
少し前のことである。解体業者から電話があった。
「今、古い家の解体をやっているんだけど、見に来ますか」
「どちらで?」
けっこう遠い。片道40分くらいかかるが、陶磁器の町で期待が持てる。
話があってその日のうちに引き取りに行くことはまずない。大体予定が組まれているからだが、骨董品は別である。なんとか調整する。
「はずれ!」ですごすごと帰ってきたこともあるが行って見なければわからない。
母屋の解体は済んでいて、土蔵か納屋みたいな建物は半分傾いていた。
そこで作業をしている親方に挨拶をして、ほこりだらけの二階の屋根裏に上がる。明かり取りの小窓だけで暗くてよく見えない。
向こうの方の壁を壊しているようでガンガン音が響く。二階がくずれないか不安になりながら手探りで何かないか探す。わずかに差す光の筋がすごいほこりをうつしている。
だめだ。来るのが遅かった。作業をやめてもらうわけにはいかない。
私はあきらめて、中に何か入っていることだけを確認して、90cmくらいの木箱だけを持って降りた。
その場で中身を吟味する時間はない。納屋の前の庭にあった常滑焼の大がめと中がめ2個を軽トラに積んだ。大がめは三人がかりだ。親方に情報料を手渡ししその場を離れた。
その木箱には小箱に分かれたひな人形と古い本物のかんざしや櫛が入っていた。
ひな人形やぼんぼりなどの小物などは古い和紙で1個づつ丁寧に包んであった。
その和紙にはその当時の覚え書きみたいなものが筆で書かれていた。明治34年の文字がはっきりと読めた。ある時点で不用となったものを保護紙として使ったのだろう。
しわを伸ばしながら、一体づつ確認していく。
五人囃子は揃った、三人官女も揃った。どれもいい顔立ちをしている。着物の生地もいいし上物だ。
しかし、肝心なお内裏様とおひな様がない。
あの二階の別なところにあったのか。いや、持ち主が何代か変わったときに要らないとしながらも、お内裏さまとおひな様だけを持ち出したのではないだろうか。私だったらそうする。
大がめはすぐに25000円で売れた。かんざしも櫛もしばらくして常連の骨董屋さんが買っていった。
予想通りひな人形は売れずにショーケースの中にずっと残っている。中心人物がいないからよけいである。勢揃いでなくても、五人囃子や三人官女の単位で飾っておけば場所もとらずけっこう様になる。
売れなくても捨てるつもりはない。
約110年前の人形である。その人形を買った人も買ってもらった子もまたその娘ももはやこの世にいないだろう。
そんな歴史をくぐってきたひな人形を、私はとても捨てられない。
なるほどなと思えたら、それぞれひと押しお願いします。

- [2008/03/04 16:23]
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コメント
象牡牝
ウチも何とか象の若夫婦を揃えたいです。
壱號の改造に次ぐ改造でなかなか先に進めません。
象行列が全部そろったら象のおひな様フルセットになりますな。
壱號の改造に次ぐ改造でなかなか先に進めません。
象行列が全部そろったら象のおひな様フルセットになりますな。
コメントありがとうございます。
象のおひな様が行列したら、みんな仰天します。改造で、ますますアイデアが増幅されていきますね。
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