象が出没? 

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当リサイクルショップに来店してくれる常連さんにはいろいろな方がいる。
60歳がらみの男性は、趣味が石集めで付随して宝石のことにはめっぽう詳しい。
またある人は古いカメラのジャンク品を買っては自分で直してしまう。そして上手く写ると確認したら終わり。そんなカメラを50台は持っているという。
あるいは買ってくれた商品をそこにいつまでも放置したまま、私と歴史談義に入ってしまう人物もいる。別の客が私に用事があればその場を譲るが、帰るわけではない。時を待ってさっきの続きとなる。
ある分野については任せておけ、というような方が意外と多くいらっしゃる。
書き並べたらきりがない。

仕事の途中の方もいるが、やはり定年退職した元気と時間のある方が多い。
この方たちは私にいろいろなことを教えてくれる。
私はお客さまは「神様」だとは思っていないが(たまに悪魔みたいなお客もいる)、活きた「先生」だとは思っている。

その中に漆山美術館の館長さんがいる。感性あふれたアーティストだ。漆山美術館はWeb上に作られた美術館で自分の膨大な作品や写真を展示されている。

私は美術館・博物館・図書館が大好きな「三館王」だ。この三館王は誰も別にほめてはくれない(笑)
この館長氏の若き日の作品の数々をWeb上で見せていただき、
 「ちょっとアンドリュー・ワイエスのタッチに似ていますね」
とその感想を述べた。すると館長氏は、
 「アンドリュー・ワイエス?おお、知っていますか」
まさか、リサイクルショップのおやじの口からその名が出てくるとは思っていなかったという顔をされた。

私は数年前に美術館で「アンドリュー・ワイエス展」をたまたま見ただけで、詳しいわけでもファンでもない。思いつきで言っただけである。
まあ、そんなわけでそれ以降、ちょくちょく言葉を交えることとなった。

実はこの館長氏が私にブログをアップすることを薦めてくれ、躊躇する私の背中を押してくれた方である。今回この漆山美術館の館長氏を紹介しておきたいのは、「背中を押してくれた」義理からではない。この館長氏、紹介するに値するパフォーマンスを昨年の秋から始めたからだ。

そのパフォーマンスとは「象プロジェクト」と称したプランだ。
冒頭の写真をご覧いただきたい。これは公園で子供たちの好奇心に満ちた顔に囲まれている様子だ。象の顔が見えないのが残念だが、言わば象の着ぐるみに入り象としてイベントなどに出没しようというものである。

この象は動物の象そのものを模した着ぐるみではなく、イラストや絵本に出てくる象さんをイメージして立体的な象を自作されたものだ。すごくかわいい。そして象の鼻が筆を持ち簡単な絵や字も書く。いわば、自作自演のパフォーマンス。

そして、この象プロジェクトの優れたところは、単に着ぐるみのパフォーマンスだけではない。みなさんは、江戸の享保の頃(1729年頃)、日本に象が来たというのをご存知だろうか。歴史好きの方々もこの「享保の象」のことは意外と知らない。もちろん私も初めて知った。

中国商人を介しその象はベトナム人の象使いとともに長崎に上陸。将軍吉宗に献上するため、通訳や数名の役人とともに街道を江戸まで歩いたというのだ(一部海路も使った)。当然旧東海道も象は歩き続けた。初めて見る巨大な動物に街道沿いの人々はどんなに驚いたことだろう。
その歴史的事実を踏まえて、旧街道のイベントなどとコラボレーションしようという発想である。

その象は一部では人気を博しているが、まだメジャーデビューを果たしていない。
象プロジェクトとしては、現実的な夢と計画はどんどん膨らんでいっているようだ。
私は直接そのプロジェクトに関与していない。柱の陰から声援を送るばかりである。
象プロジェクトはボランティアスタッフを募集しているとのこと。
こんなプロジェクトに関心がある方、お手伝いしてみたいという方、当ブログのリンク欄の「漆山美術館」を訪れてみてはいかがだろうか。

館長氏のその活動ぶりは、「アートとは美術館に鎮座しているものだけではない」と私に教えてくれた。
私が脱サラしリサイクルショップのあるじになってよかったな、と思えるのは、無益なストレスが減ったことと、こんな一風変わった面白い人々に出会えることである。


なるほどなと思えたら、それぞれをひと押しお願いします。

コメント

歴史ロマン

ある宿場町二カ所でのイベントへの参加が叶わなくなりました。
歴史とロマンの間には線引きをすべきだと言う理由です。
私の享保之象は史実に反し牝象を生かし牡象と共に1400キロの新婚旅行をさせるものですから反対されたのです。
しかし、牡象での参加も受け入れられなかったに違いない壁の厚さと高さを実行委員等から感じました。
将軍吉宗のロマンを実現させることにもなる私の夢の「象」は、歴史の中から生まれ多くの子供たちに受け入れられ私の日々を生き生きとさせくれていますから、
歴史とロマンを切り離すことなど私には到底できません。そもそも、厳密に忠実な歴史の再現を誰が出来ると言うのでしょう。

 古い言い方ですが、ハプニングとしてあちこちに「象」を登場させようと企てていますから、いつかどこかで鉄格子の中の象になってしまうかもしれませんね。
それはそれで似合っているような面白い絵になると思いませんか。

コメントありがとうございます。

独創的なこと、前例がないこと、そしてロマンのあること、こんなことを成し遂げていこうとするといつも何らかの障害が現れます。めげずに気長にいきませう。大丈夫、「鉄格子の象」だって様になること間違いなし。応援しますよ。

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