カラオケの世界

ちょっと着飾った年配のおばさんが来た。
5枚100円というハンカチを300枚買った。
1枚20円というハンカチだが、けして粗悪品というわけではない。倒産品なのだ。
このおばさん、カラオケの先生だそうだ。
「来週ね、コンサートを開くの・・・文化会館で。小ホールだけどね」
「会場で配るの、このハンカチやら記念品を・・・」
「ほう、すごいですね。何人くらいの人が来るんですか」
「300人くらいかしら・・・」
曲によって観客にそのハンカチをふってもらう演出らしい。
カラオケ教室を開いていて、そのコンサートでは友人やら生徒さんたちが観客だ。 その生徒さん方も多くは年配の女性という。
リサイクルショップとカラオケの関係は割りとある。
カラオケ機器の放出である。カラオケ機器の歴史を見るように目の前に現れ、消えていく。
カセットテープとエイトトラックの再生装置にスピーカーが一つになったものは30年前の物。 絵の出るカラオケCDというのもあった。その後レーザーディスクカラオケが流行る。
どれも、機器はもう古すぎて引き取りできない。
当時1枚が一万円もしたレーザーディスクは今ではジャンク扱いで500円以下である。
これがディスクのいらない通信カラオケと進化していく。採点もしてくれるしハモッてもくれる。 通信カラオケの機器も、カラオケ屋の撤退で大量に引き取ったこともある。
カラオケを楽しむ形態も様ざまである。
家庭で、スナック・居酒屋、カラオケボックス、そして「カラオケ喫茶」。
飲み会ではちょっとうまい肴で一杯飲みながら、同行者と静かに会話するのが私は好きである。 だから突然カラオケの大音量が流され、会話ができなくなるスナックは好きになれない。
自己陶酔の歌を聴かされるのもごめんだし、自分のへたな歌を他人様に聴かせるほど図々しくはない。
しかし、たまにカラオケボックスに行くことがある。
仲間同志だから遠慮はいらない。
歌うのは70年前後のフォークソングや歌謡曲に、たまのビートルズである。
新しい曲は歌わない、というか歌えない。見事な「おじさんパターン」である。 歌うことはストレス解消にかなり効く。
中高年のおじさん・おばさんはこの「おじさんパターン」と「カラオケ探求組」と大きく分かれる。
その「カラオケ探求組」の日常の場が「カラオケ喫茶」なのである。
私はカラオケ喫茶には行ったことはない。
カセットテープはご存知の通り、二時代も三時代も前の音楽媒体である。
もちろん主流はCDなのだが、どっこい、歌手が歌うカラオケテープは生きているのだ。
当店に並んでいるカラオケカセットテープは、1本100円である。
高齢の方が入院するというので不要品として大量に引き取ったものだ。
200本はあるカラオケカセット、知らない歌手知らない曲ばかりだった。
古いからではない。
ある60歳代のお客さんが、
「○○○○のテープないかな、カラオケの・・・」
聞いたことのない歌手だ。
「え、知らない?すごく人気があるんだよ・・・」
「ほら、あの△△△という曲、今大ヒットしてるよ・・・」
大ヒット?そんなにヒットしている曲を知らないはずはないのに聴いたことがない。 カラオケ喫茶に出入りしているそのおじさんと話をしていて、だんだんわかってきた。
カラオケ喫茶が中高年の「サロン」となっていること。
他人に聴いてもらうために、みんなが競ってうまくなろうとしていること。
カラオケ喫茶で歌われる演歌はマスメディアにほとんどのらない。
しかし、その世界でスター歌手がいてヒット曲が存在すること。
そのヒット曲や好きな歌手の新曲に多くの人が関心を持っていること。
カラオケボックスの通信カラオケランキングとは全く一致しないこと。
カラオケ喫茶はカラオケボックスとは「カラオケの世界」が違うのである。
そして、グループがいろいろあって発表会では衣装に工夫をこらすというのだ。 そういえば、ある日どこかのおばさんが、カラオケで使うといってチャイナドレスを買っていった。
どの分野であろうと、凝りだすととことん凝るのが日本人だ。
中高年の「お楽しみ学芸会」はどんどんエスカレートしていく。
冒頭のハンカチおばさんの再登場だ。
ついに文化会館で300人以上集めるコンサートを開くまでになるのである。
ステージの上では人気演歌歌手の気分なのだろうな、きっと。
衆目を浴び気持ちよく歌う光景が目に浮かぶ。
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- [2008/05/24 08:52]
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なぜか片寄る不思議

不思議に思うことがある。
とある暇な平日の午前中、100坪の店内にお客は2人しかいない。がらがらである。 パートさんと店内を整理するチャンスだ。土日はお客さんが多くそんなことはやっていられない。
タンスなど大型商品が売れたあとに倉庫から在庫の家具を運び入れたり、そのあたりのレイアウト変更したりする。また乱れた商品の陳列補正などをする。
そんな時、わずかしかいないお客さんが邪魔になることがある。お客さんが邪魔なんていうと、ちょっと失礼だが、そんなつもりではない。とにかく作業をしようとする場所にお客さんがいるのだ。
たった二人しかいないのに。お客さんが優先だから、作業を変えて違うエリアに行こうとすると、その人は同じ方向に移動し通路をふさぐ。
「・・・・・・・・」苦笑しながら少し離れて待つ。
私が陳列替えをしようとするそのあたりに、なぜか向こうからお客さんが寄ってくる。
作業ができない。
どのくらいがらがらかというと、中くらいのスーパーのレジから奥に向かって、右手奥の肉売り場の前に一人、左奥角の野菜売り場に一人、店内この二人しかいないというくらいの状態。
当然レジからは陳列台の影で誰も見えない。スーパーはたとえであるが感覚的にわかりやすいと思う。
これくらいがらがらなのに、人は片寄る。不思議である。
子供の頃の情景を思い出す。自転車の乗り始めの頃だ。
ふらふらとバランスを崩しながら自転車をこぐ。そして態勢を立て直す。
「いいぞ、その調子だ」
自分に言い聞かせて気持ちよく走る。
後ろから数人が走って来た。ジョギングか。気をつけて左に寄る。
人は無事に通り過ぎたが、突然少し向こうの左の電信柱が気になりだす。
「電信柱に当らぬように気をつけなけりゃ・・・」と思う。
うん、危ないよなあ。気をつけよう。
「あああ、あれえ・・・」
意識すればするほど、目の前に電信柱が迫ってくる。
気持ちは電信柱から離れようとしているのに、自転車が勝手に寄っていってしまうのだ。
危うくぶつかりそうになったが、なんとか通過。
「ふぅ〜、危なかった・・・」
あなたはこんな経験ありませんか。
店内の人の片寄りとは、なんか似ているようで違うような気もする。
しかし、どちらもなぜそうなるのかわからない。未だに不思議なのである。
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- [2007/11/20 07:49]
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ねずみ取りシートに子供がかかった!
数年前から食品もならべるようになった。全体から見ればわずかなシェアだ。
食品といっても乾物系で、殻つきピーナツ・切り餅・削りかつお節・乾麺・など。袋菓子や飴なども置いている。どれも問屋の在庫限りで継続性はないが、何かが切れれば別の何かが入ってくる。季節によってもアイテムは変わる。
食品は利益が薄い。しかし、置いておけば必ず売れるのでサービスのつもりで取り扱っている。
その食品を並べるようになってからの悩みの種がねずみだ。
最初の発見は殻つきピーナツの殻。商品の陳列変えに陳列台を動かしたら、ピーナツの殻がいっぱい落ちていた。ねずみだ。
本物の稲穂がうまく組み入れられている縁起物の置物があった。ある時は、その稲穂がすっかりなくなっていた。五穀豊穣の願いもねずみの餌食だ。
ねずみも生き抜くためにそれなりのノウハウを持っている。その一つに人間に発見されるのを極力遅くさせることだ。陳列してある食品を獲物にする場合は、必ず裏をかじる。表からは見えない。
ある時、少し斜めになっている床に山積みしていたミネラルウォーター2L、6本入りの段ボール箱の下から水らしき液体が染み出ていた。
「おかしいなあ、ペットボトルが割れた?」
「昨日までこんな事はなかったのに」とパートさん。
陳列をくずして調べてみると、一番奥の段ボール箱の裏側にかじられたあとがあった。それは箱の中のペットボトルまで達していた。
それ以降、ねずみ取りシートを活用。すでに20匹は捕った。
ねずみの学習能力は高く、一度ひかかった同じパターンで置いておいても次はかからない。
仲間がシートにくっついてもがき苦しんでいるのを、他のねずみは見ているようだ。
閉店後、いつも帰りがけにシートをいろいろ場所を変えて置くことにしていた。
ある日、レジ台の下のわずかな隙間に置いた。翌日、目につく所にしかけたシートは営業前に折りたたんで事務所にしまっておくのだが、レジ台下はほとんどお客さんの目には見えないのでそのままにしておいた。
その日の午後、3歳くらいのいたずら小僧は店内を走り回っていた。商品やら備品やら目につくものやたら触りまくって遊んでいる。台の下の隙間に何やらあるぞ、とその小僧の目に止まったらしい。
引っ張り出して、なぜか踏んだ。
いたずら小僧が、ねずみ取りシートにかかった。
小さな運動靴は見事にくっついて離れない。大泣きして親を呼んだ。
店内の違う場所にいた私は、子供の大きな泣き声でレジに戻った。
その時私が目撃したのは、若いパパが泣きべそをかいている子供のそばで、必死になってシートから運動靴をはがしている姿だった。
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- [2007/10/30 09:31]
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不足分は焼酎で?

夕方、若い夫婦が入ってきた。夫は作業服を着ている。店内を見て回り、両袖の事務机がほしいという。店内の陳列替えをして事務机は3段積みにしたばかりだ。
リサイクルショップは、積める物は何でも積んでしまう。
両袖机は1万円。もう一つ目につけたのはファックスつき子機付き電話機15000円。
値段がひかかるのか、う〜ん、とうなっている。
「ちょっと考えてみる」と言って二人は事務机の売り場を離れた。
中古車販売店を経営しいて、事務所の机ほか備品をさがしているらしい。偶然通りがかって入ったようだ。
店内を見て回るうちに一角に目を留めた。そこには、古い100%木製の机が一時置きのため、壁にむけて置いてあった。
「これ、いくらですか」
6000円というと、急に二人の目の輝きが変わった。
「ねえねえ、これいいよね、あんなスチールのデスクより味があるね」
若い人が、時々こういう古いものに興味を示す。
すっかり気に入った様子。ファックスも買うから2つでなんとか、2万円にしてくれという。
少し時間をおいて、承諾した。ところが、ふたりは財布の中身をひっくり返し、
「1万と9650円しかない・・・・・」
「さっき、ディスカウント酒屋で酒を買ってしまったのがいけなかった。ああ、困ったなあ」
「待っていてあげるから、取りに行ったら」
「それが、家は○○のほうなんで・・・・ちょっと遠い」
いろいろ考えていた二人は、思わぬことを口にした。
「酒屋で買った焼酎を不足分にあててもいいですか」
思わず笑ってしまい、焼酎はあまり飲まないが、まあいいかとOKした。
結局、その申し出は常識的でないと思ったのか、1万円だけ内金を払い、すぐに戻るから商品を確保しておいて欲しいと言って帰った。
30分もしないうちに残金を持ってきた。
近くの親戚の家を思い出し、借りに行ったという。
そして、嬉しそうにワゴン車に机を積みこんだ。
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- [2007/10/26 09:37]
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「リサイクルショップの謎」物との出会いは面白い。
珍しい物が売れることがある。少し前のことだ。
街に古本屋がどんどん消えていくかわりに、ブックオフなど中古の本やCDを扱う新しいタイプ店が乱立している。私は若い時古本屋が大好きだったが、残念ながら時代の流れというやつには逆らえない。
したがって、勝ち目はないので本などは積極的に引き取らないことにしている。
ところが、引越しや家の建て替えで家具を引取りに行くと、ついでに本も持っていって欲しいと依頼されることがある。本の中身とか吟味せず1冊10円だったり、ただで引き取ったりしてる。
そんな仕入れ方だから、店内にきちっとした古本のコーナーを設けていない。
本棚に適当に入れてその本棚が売れてしまうと、中の本は流浪の民だ。次の居場所を探さなければならない。
価格は文庫本も豪華写真集もオール50円で販売している。
そんな中に、一冊だけ500円をつけたものがあった。正確な書名は忘れてしまったが、「無線通信ハンドブック」とかいう結構厚い辞典みたいな本だ。出版されて、25年は経っていたかもしれない。
二十歳くらいの若い子がそれを抱えてレジに来た時には、思わずその本と青年を数回見まわしてしまった。
「珍しい物を買っていくね」
「探し回っていたんです」
「そんな古い本、データーなどが古すぎて役に立つのかね」
「その古いデーターが載っている本がもうないんです」
「ふ〜ん。。。」
「神田や鶴舞の古本屋も探したし、インターネットでも探したけどみつからなかった。
こんなところにあるなんて・・・・・」
青年の顔いっぱいにお宝発見の喜びがあふれていた。
リサイクルショップを回る楽しみに一つに、こんな探し物にめぐり合うこともある。
オール50円の中でそれだけ500円にした理由は、どうせこんな古い難しい本売れな
いから、もし売れるとしたらマニアが買うにちがいない、じゃ、500円にしておくか、と
いうくらいの安直な発想だ。
勘は当たった。この場合金額は小さいけどね(笑)
この青年は探し物に遭遇しリサイクルショップめぐりがやめられなくなり、
私は勘が当たってリサイクルショップがやめられない(笑)
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- [2007/10/21 21:23]
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