天生峠からの帰り道、工事用信号の怪

初夏には水芭蕉などが群生し賑やかな湿原も、今は枯色に覆われて少し
ばかり荒涼と見える。秋の湿原は周りの色づく広葉樹に主役をゆずる。
天生湿原(あもうしつげん)を通りすぎると巨木がそびえる林に入った。
ぶなやかつらの原生林である。黄色や赤茶色の中を歩くのは心落ち着く。
すでに葉が落ちて裸の木々もある。冬は密かに近づいている。
少しづつ高度は上がっていくが、息があがるほどではない。
沢の水音がかすかに聞こえる。静かな原生林を歩いていくと、時々他のハ
イカーの気配。ちょっとほっとする。仲間うちでも、あえて会話しながら歩く。
熊でも出そうな雰囲気だからだ。
籾糠山(もみぬかやま)への標識が現れた。それから約40分の急登が続
く。空の雲行きが怪しくなってきた。雲が流れてくる先を見ると、かすかに青
空も見える。
一気に行こう。背中に汗がにじむ。
歩き始めて2時間半がたった。頂上に立つ。ガスが流れ眺望はきかなかっ
た。時々流れる雲が切れ、その瞬間眼下に赤・黄・緑のまんだら模様が
広がった。天気さえよければ、それは視界いっぱいに広がる雄大な錦秋を
彷彿とさせた。

ー天生湿原から籾糠山登山の情報は、山登りのブログに沢山ある。
詳しく知りたい方はそちらをご覧あれ。
さて中高年の山歩きに温泉はつきものである。
天生峠から国道R156に出ると白川郷ICに向かわずに、左に曲り荘川方
面にハンドルを切った。しばらく行くと左側に日帰り温泉「しらみずの湯」が
現れる。ここで汗を流す。
さっぱりと山歩きの疲れを洗い流し、国道R156を荘川ICに向かう。
この道は御母衣湖の脇を通る。まだ5時頃だったが山の日暮れは早い。
すぐに真っ暗になった。
道路が狭められて、スタンド式のタテ型信号機の赤が光っていた。
そこで停車したが、私たちはここで驚くことを目撃する。
「先のトンネルかなんかで工事かな、交代で一方通行だね・・・」
「あれ何?あの工事用の信号機の・・・デジタル時計みたいなやつ・・・」
「06:38」・・37・・36とカウントダウンしている。あと、どのくらいの時間で
信号が変わるか示しているのだが、その時間の長さにびっくり。
信号待ちで6分半は長い。
エンジンを切った。主ライトも落し車幅灯だけにする。すぐ後ろについた
軽四のワゴンRもエンジンを切った。
周りは真っ暗。景色は見えない。家もない。
向こうからはまだ車は1台も来ない。不気味な時間が流れた。
すこし向こうのカーブしたところから3台の車のライトが順に見えた。
あと「03:30」という表示でやっと来た。やれやれ。
3台が通り過ぎるとまた静寂が戻る。後続車はない。まだ3分もある。
あと20秒というところでエンジンをかければいいか。
やっと1分を切った。その時である。
後のワゴンRがエンジンをかけた。準備が早いなあ、と思った瞬間、私たち
の車を横目に見てピューと走り抜けて行ったのだ。
「あ、あ、ええっ、何だあ・・・フライングじゃないか・・・」
唖然としたが、ずるいと思うより途中で対向車にあわないのか、大丈夫なの
かと思いながら遠のく軽四のテールランプを眺めていた。他のみんなも同様
に口をあんぐりさせている。
結局、信号が青に変わるまで待って私たちは発進した。
向こうに待つ対向車まで、確かに長い工事距離だった。
「あの軽四は・・・地元の人なんだよね、きっと・・・」
「対向車が通り過ぎてしまい何分後にはもう絶対車はこないと・・・」
「わかっていたんだな・・・慣れたものってやつか」
それにしても車の通行量が少ない。高速道路が開通していないだいぶ昔、
この道を通ったことがあるが、その頃の方が賑やかだったような気がする。
高速道路ができると、他府県などよそから来る人はやはり高速道路を使っ
てしまう。
高速道路が無料化されると、「車と信号の少ない国道のんびりドライブ」とか
いって雑誌やテレビで特集されるのでは。これ、かえって面白そう。
車の中は再び雑談の中に高速道路無料化が話題になった。
話はあっちこっちと飛びつつ、荘川ICに到着した。
さて、ここからは高速道路に入り南に向かう。
まだ平日5割引きの時間帯だ。
なるほどなと思えたら、それぞれひと押しお願いします。
![]()
にほんブログ村![]()
- [2009/11/17 21:39]
- こんな話題もあり、です |
- トラックバック(0) |
- コメント(0) |
- この記事のURL |
- TOP ▲
錦秋の天生峠(あもうとうげ)を歩く

気持ちのいい秋の空気を感じながら、紅葉の湿原歩きと登山を楽しんだ。
白川郷にほど近い、天生湿原とその奥にそびえる籾糠山(もみぬかやま)
である。
ご存知白川郷は、相変わらずの人気でかなりの人出である。天生湿原を
周遊し籾糠山に登るコースも、山好きの間ではそれなりに有名である。
今回は白川郷は立ち寄らない。
山好きのグループに入ってる友人がいて、私はそのグループの登山スケ
ジュールを眺めながら、自分の都合と気が向いた時に参加するという準メ
ンバーの位置である。熱心とは言えないが、山歩きの魅力はわかっている。
名古屋から東海北陸道で2時間半。白川郷ICで降りて地道を約30分ほ
ど登坂すると天生峠に着く。ひと昔では考えられない早さだ。
この東海北陸道が開通したことで、高山や白川郷、五箇山、そして富山へ
とすごく身近となった。実は一ヶ月前も富山に行ってきたばかりで、なぜか
同じ方面が重なる。
高速道路を走っている時、私を含めた4人はお互いの近況を話題にした
り、とりとめのないおしゃべりをしていた。
「そう言えば、高速道路の無料化って、どうなった?」
「どうなるんでしょうね・・・」
「無料にすると、いろいろ問題が起こると反対している人も多いとか・・」
「無料になれば、嬉しいけどねえ・・・山行きも助かるわよね」
日本国民というのは政権が変わるという大きな出来事の時でも、良識バラ
ンスを維持できるんだなあ、と感心する。高速道路がただになれば、大方
の人々が諸手をあげて喜ぶと思っていた。しかし、違った。財源はどうなる、
CO2排出量が増えるのでは、そこで働く人々はどうしてくれる、と。
「立場が違えば、喜ぶ人とそうでない人が出てくるでしょうね」
自分の周りにいる人たちは普通の人たちである。会社員であったり、中小
企業のおやじさんだったり、設計事務所オーナーの建築屋だったりで、
高速道路無料化に特に反対の人はいない。
一体誰が反対しているのか。
既得権を得ている人たちである。無料化でその利権を得られなくなる人達
である。一方、利権とは関係なく環境問題を重要視している方々もいる。
高速道路無料化については、別の機会にあらためて書いてみたい。
天生峠に着くと広い駐車場が作ってあった。脇に白いイベントテントが建っ
ていて、3,4人の高齢だが元気そうなおじさん(おじいさんか)たちがいた。
皆さん、お揃いのグリーン色のナイロンジャンパーを着ていて、ネイチャー
パトロールと書いてある。
「お一人500円の入山料をいただいています・・・」
いろいろな山に登ったが、入山料がいるのは初めてだ。
湿原木道の整備や安全パトロールなど、環境保持のために使うという。
湿原の縁を歩いていた時もロープを張り替えていたおじさんがいたし、山
の途中でも同じジャンパーの二人組に出会った。
昔は、町からこの山奥に来るのは大変なことだったと思う。今では高速道
路が難なく運んでくれる。
その高速道路の無料化が検討され、山に入るのが有料となる。
多くの人が入ればどうしても山は荒れる。これから環境保持などを理由に
有料になるところが増えてくることになろう。
皮肉なことである。
-次回につづく・・・
なるほどなと思えたら、それぞれひと押しお願いします。
![]()
にほんブログ村![]()
- [2009/11/09 09:38]
- こんな話題もあり、です |
- トラックバック(0) |
- コメント(0) |
- この記事のURL |
- TOP ▲

